院長挨拶

 

ウェルネスプラザ所長
最上町立最上病院 病院長 
介護老人保健施設 施設長 

 

佐藤俊浩(さとう としひろ)

 

 高齢化社会に対応するための重要な課題である、地域の保健・医療・福祉のシステムの整備と統合化は「地域包括ケアシステム」と称されています。

 

 本邦におけるそうした取組は、比較的気候の温暖な西日本主導で、かつ多くの自治体の参画による広域型のものを中心に発展してきました。しかしながら最上町のように豪雪のハンディキャップを伴い、他市町村への移動も容易とはいえない地方では、地域の特性に沿ったコンパクトな形態のシステムの構築こそが長年の懸案であり、その実現のため我々は施設の建設とソフトの充実に専心して参りました。

 

 振り返りますと、最上町立最上病院の1954年の開設以降、1980年代には地域保健座談会の開催、夜間診療の充実、訪問診療・訪問看護の導入といった医療の充実のための幅広い改革に着手してきました。高齢化の波が押し寄せた1990年代には、医療のみによる取り組みの限界を実感し、「第二次最上町総合計画」すなわち「ウェルネスタウン構想」を核とした「ウェルネスプラザ」の施設整備が進められました。健康センターの新築移転に続き、待望の新病院が1994年に完成、次いで「健康クラブ」介護老人保健施設「やすらぎ」が開所、最終段階として2000年代にグループホーム「やすらぎの家」、高齢者生活福祉センター「陽だまりの家」が整備され現在に至っております。

 

 基本的な概念は町民の皆様を対象に、町の中心である向町地区に様々な施設郡を集約し拠点として機能させ、可能な限りのサービスをウェルネスプラザ内で完結させることを目指そう、というものです。施設の配慮が随所に盛り込まれており、また温泉を利用した各施設の浴室は利用者の皆様からも幸い好評を博しております。さらに最上病院においては県立新庄病院との連携により皮膚科・放射線科領域の遠隔診察システムを取り入れるなど、積極的に高次医療への対応も行っています。

 

 2000年より施行された介護保険制度への対応として、当プラザ内には42名の介護支援専門員が常駐し、基幹型在宅介護支援センターの設置、訪問看護・訪問介護、温泉を利用した訪問入浴サービス、通所リハビリ・通所介護、グループホームといった在宅系サービスの提供、および施設系サービスとして介護老人施設「やすらぎ」を備えております。 社会福祉法人豊寿会の運営による介護老人福祉施設「紅梅荘」との連携も図りながら、住民の皆様に御満足いただける運営を目指しております。

 

 充実した「地域包括ケアシステム」の確立に際し、地方においてはマンパワーの不足や交通基盤の未整備といった障害がさけられないのも事実です。しかし例え過疎地域とはいえ、地域住民の皆様に対し最高の技術を提供することは我々の使命であります。 様々な障壁を解消するため最先端の情報を余すところなく取り入れ、地域の中核施設との連携を密にする努力は不可欠であると思います。また、公的施設としても接遇の問題は最重要視すべき課題でもあり、施設を利用される皆様から選択される側に立つという認識のもと、可能な限りアメニティの充実に力を注いで参る所存です。

 

 最後に、円滑な施設運営の必要十分条件として、「ハードの整備」「ソフトの充実」という言葉をよく耳にします。この語彙の解釈は、人により微妙に異なるように思いますが、私は「ソフト」とは組織機構や従事者自体を意味するのではなく、それは従事者一人一人の心の底にある熱い想いのことであり、それこそが「ハード」を動かすのではないか、と考えています。「ハード」、すなわち建物や組織はいつか朽ち果てる日が来ますが、「ソフト」は無限なのです。

 

 我々は、けっして現在の立場に奢ることなく、これからも地域と密着した施設づくりという夢を探し続ける永遠の旅人でありたいと思います。